テキトー手探り創作雑記帳

創作企画PFCS中心ブログ。書いたり描いたり。

【PFCS】SS『契約の花・1』

※書きかけで投稿失礼します(>_<)
カイザート組中心、シリアスです。

「…あたし…は、
強い男と結婚する。
由緒正しき戦闘民族の末裔である、
パ・ドゥ家の名に恥じないくらい、
強い男と────…」

そう言って啖呵を切って、ラミリアが家を出たのは何年前だったっけ。
もうずいぶんと昔に感じる…。




******




クォルがラミリアと一緒にカイザートに帰郷した時の事。
ラミリアの家で門下生たちに混ざって夕飯を食べているところに、赤雲がある話を持ちかけてきた。

「───…“契約の花”?」

ガツガツと食べ続けるクォルを横目に、ラミリアは食べる手を止め、興味を持った様に赤雲の話に食いつく。
赤雲は うん、と にこりと笑った。

「『火の部族』では、昔から“一の嫁”となる者に“契約の花”を贈るのが習わしで、その為に焔帝山にその花を取りにいくんだけどね。
“契約の花”は5年に1度しか咲かない、摘んでからも咲き続ける不思議な花で───…」

「つまり、1回取っときゃあ、いつ結婚する事になっても相手に渡す事が出来るって事か」

モゴモゴと頬を動かしつつ、クォルが赤雲の言葉に被せると、赤雲は“そうそう”と頷いた。

「俺たち鬼は短命だ。正直今ピンピンしててもいつ寿命が来るか判らん。5年先に取りに行けるかと言われれば、胸を張って言えないのが現状でね」

「で、ちょうどいいから取りに行くんか…。いっぱい取っておいて、必要な時に配るとかだめなん?」

「それがね、何本も咲いている訳じゃないし、何より花のある山頂には守護鬼神がいて、そう簡単に取らせてはくれない」

「守護鬼神…?」

話を聞いていたラミリアが首をかしげる
赤雲はコクリと一つ頷き、顎に手をやった。

「力試しの意味もあるんだが、…この守護鬼神、とにかく力が強くて図体がデカい。こいつを倒すのが試練の1番の難関なんだ」

「…それで?オメェらが受ける試練に、俺らも連いて来いって?」

ふぅん、とクォルは素っ気ない返事を返し、そう訊き返すと、赤雲は はっはっは!と笑った。

「まあそれもある。
…あとは、実はそれに関して、もう一つ困った事があってな」

「困った事?」

「守護鬼神は“契約の花”を守る婚前契約の象徴で、男神と女神が存在するつい────…。
つまり、2体居るんだよ。今回は俺たちしか入山しないから、どうしたものかなと思っていてね」

赤雲はゲンナリとそう言った。

赤雲は、クォルからしてみれば不本意ながらもそれなりに強い、と感じている武術家だ。(だからこそラミリアの件で焦りを感じているのもあるのだが)

その彼が、自分達に助っ人をお願いする程の相手。

…どう考えてもワクワクするしかない。
諸々の事情もあり、強者と戦えるのは願っても無い事だ。
クォルはニヤリと口の端をあげる。

「まぁあ?他に同行者が居ねーから困ってるっつうんだから、仕っ方ねえよなぁー。いっちょ俺様が助けてやるかあー!」

「何を えっらそうに…」

息を巻くクォルに、ラミリアはやれやれと困った様に笑った。
満更でもなさそうな反応は、彼女も連いて来るという事だろう。
赤雲は嬉しげにニカっと笑い、パンっと掌と拳を前で合わせると、深々と頭を下げた。

「かたじけない。恩にきるよ、二人とも」



******



『火の部族』の焔帝山が在るのは外殻。
未だ未開の地が多いそこに行くのは初めてで、クォルとラミリアは船で移動する際にも終始目を輝かせて旅路を満喫していた。

「あっ、あれが焔帝山?」

「そうだよ、ラミリア嬢」

焔帝山は活火山だ。
絶えず噴火口からは煙が立ち上り、麓には数多の温泉と、地熱を利用したタタラ場がある。

「入山するなら明日の朝からがいい。…とりあえず、二人とも我が家に来るといい」

赤雲たちの生家のある集落の桟橋に着くと、赤雲はそう促した。
では、わたくしは先に向かっております、と優焔が足早に集落の中に入っていく。
同じ作りの三角の藁葺き屋根の家がたくさん建ち並び、カイザートやティラルとは違う雰囲気の街を作り上げていた。

「かわいいお家がいっぱいね!」

ラミリアが目を輝かせて楽しそうに笑った。

「ああでも、やっぱり僧兵の鬼の街だわ。歩いてる人みんなそれなりに修練を積んだ人ばかり」

「そう言って頂けて光栄だよ、ラミリア嬢。…しかし、何故そう思うんだい?」

「だってみんな、それとなく余所者のアタシとクォルの気配探ってるし、子供に至るまで足運びに無駄が無い」

「はっはっは!…だとすれば、まだまだ修行が足らんなぁ。来たばかりの余所者に気付かれている様では」

赤雲がラミリアの推察に豪快に、嬉しそうに笑った。

「我が家に着けば、皆の二人に対する警戒も解けるだろう。
…しかしラミリア嬢、やはり貴女は我が部族に迎え入れるに相応しい。
…嫁に来ないかい?」

サラリと赤雲が言った言葉に、ラミリアとクォルが同時に吹いた。
ラミリアは瞬時に顔をボッと赤らめて赤雲に食ってかかる。

「ああああのさぁぁ?さ、さらっと口説いてくるの本当やめてくれない、セキウン⁈」

「何故だい?」

「な、何故って…っ」

あわあわと口をパクパクさせて言い澱むラミリアに打って変わり、クォルが不機嫌そうにラミリアと赤雲の間に割って入り、口を挟んだ。

「やい、コラ、セキ!
言う事がいちいち小っ恥ずかしいんだよお前は!」

「別に構わないだろう、お前さんだって普段から同じ様に女性に声を掛けているじゃないか」

「っ、…るっせぇ!俺様はいいんだよ!」

「相変わらず無茶苦茶だなぁ」

赤雲が はははっ!と声を上げて笑うと、クォルは苦虫を噛んだ様な顔をして、フンっとそっぽを向いた。

“だからちょっと嫌だったんだよな…。
っつってもラミの性格からしたら
絶対困ってるやつ放っとかねぇだろーし、
今回はよりにもよってセキの故郷だ。
野放しにしたら絶対ぇラミの事、
勝手に自分の『嫁』だって
部族中に言いふらしかねん…!”

ギリギリと歯ぎしりしつつクォルがムスッとしていると、道の先から先に赤雲の家に行っていた優焔が戻ってきた。

「主、お待たせしました。
…お二人共も…、?…どうかされましたか?」

「「何でもない、何でも!」」

クォルとラミリアが同時にそう否定すると、赤雲は豪快に笑って優焔に応えた。

「いや何、もう少し淑やかになれと怒られただけだ。
…さあ二人とも、船旅も疲れたろう。今日は我が家で休むといい。行こう」



******



翌朝。

焔帝山は修験道も兼ねている。
それなりの装備を整え、クォル達は焔帝山に入山した。
の、だが。

「聞いてねぇぞぉっ、くそセキウン!!!!!!!!」

現れた魔物を殴打しながら、クォルが怒り心頭に赤雲に喚く。
同じく現れた魔物を投げ飛ばし、赤雲はにこやかに笑って返した。

「仕方ないだろう。…我々は僧侶。ここは修験道だ。…刃のついた武器は不浄の物だからな」

「それを聞いてねぇっつってんだよ!剣が使えないなら使えないって先に言っとけ、くそ坊主!!!!」

「悪い悪い、俺も優焔も武器は使わんからすっかり失念していた」

はっはっはとにこやかに笑いながら、赤雲は苦も無く魔物を投げ飛ばす。

「何 甘っちょろい事言ってんのよクォル。普段から鍛錬してればなんて事ないでしょ」

よっ、と魔物を殴り飛ばしながら、ラミリアがニヤッと笑った。
クォルが顔を引攣らせながらジトりとラミリアを見返すと、彼女は得意げに自慢の足技で魔物を蹴り上げているところで…。
クォルはガクッと肩を落とした。

「(…はぁ…俺様かっこワリィ…)」

剣を使えない場所に助っ人に来いだなんて、
セキウンの野郎、一体何企んでやがるんだろう。

忌々しげに目の前に現れた魔物達を撃退し終わった赤雲を、クォルは物凄く文句を言いたげな目をして睨んでやった。
赤雲はそれに気付いたのか、にこやかに口の端をあげた。

「まあまあクォル、そう怒るなって。普段剣振るってる割には大したもんじゃないか」

「るせーっ!お世辞なんか要らねえっつーの!!」

「心外だなあ…。まあ、とりあえずこの調子でよろしく頼むな?」

「るせーっ!!」

あー!ホント腹立つ!!!!
クォルは半ば八つ当たりのように、丁度襲いかかってきた魔物を殴り飛ばしたのだった。












★つづく★