テキトー手探り創作雑記帳

個人的な趣味なモノを、書いたり描いたり

ちょっとしたSS・8『出会いは、はじまり。』

はじめに

ちょっとしたSS、
お見せしてなかった原案推敲版最後、
物語の冒頭部分をお送りします(^^;
(うちの子の人となりを手っ取り早く知って貰う為に、
原案から抜粋しながら載せていたので…)

冒頭なのでわざとらしく(笑)自己紹介的な会話が多いです。




これ以降の続きは
こちらに並べ替えて置いてあります↓
SS倉庫 - PFCS-wiki(リーフリィ)
(↑宜しければお読み下さい(^^))

※細かい説明いらねーやい!って方は、
目次から〔 オリジナルより抜粋『出会いは、はじまり。』〕を選んで飛んでください。
【目次】

登場人物

少し設定は違いますが、『PFCS』に参加させていただいてる子達でもありますので、
良ければこちらを参照して下さい。↓
リーフリィの住人 - PFCS-wiki(リーフリィ)

『PFCS』参加者様への注意事項

◉以下のSSは、『PFCS』に参加させていただいてる子達の元ネタのお話から一部を抜粋して載せています。
◉魔法の概念や世界観など、『PFCS』用には書き起こしてません。過去に書いたオリジナル小説からそのまま打ち出しています。
この世界では、『闇』と『光』の魔法は なかなか使い手がいない為、特別扱いされてます。
◉文章中の単語について
『サガ』→『クライド(PFCS)』
『クォ』→『クォル(PFCS)』
『ラミ』→『ラミリア(PFCS)』
コードティラルとグランローグがまだ戦争をしている時期のお話です。
『PFCS』にはその後の平和になった国での彼らを参加させているつもりです。
実は個人的に、彼らのif、アフターストーリー的に楽しませて貰ってます。
てへ(´>∀<`)ゝ
◉あくまで、彼らや町の雰囲気の参考程度に読んでいただければ幸いです。
(口調などは『PFCS』では誇張して表現しています。クォルは『PFCS』では基本『俺』ではなく『俺様』です(^^;))

上記をご理解の上、お読みいただければと思います。
ややこしくてスイマセン(^^;)






『出会いは、はじまり。』

その日は、
朝から雨が降っていた。






まだ夜も明け切らぬ薄がりの中、黒髪の青年が馬を駆り、雨の降りしきる森の中を駆け抜けている。
遠く、日の差し始めている方角はすでに日が昇っているかの様に明るい。

“嫌な夜明けだな。”

誰にとも無くそう呟き、青年は唇をかみ締めた。
青年の瞳には、その雨をもろともせず燃える、城を包む黒い炎が映っている。



知らせを受けたのは、ほんの2時間前だ。
隣国のフィアルが突如魔物の襲撃に遭い、交流の深いコードティラルに救援を求める伝令鳥を飛ばしてきた。
コードティラルの王・レイザスの命を受け、王国の騎士団がすぐに救援に向かうべく編成を行っていたが、伝令鳥が知らせを持ってきて1時間もせぬところで、フィアルから新たな伝令鳥がやってくる。

『城下はすでに壊滅状態。王城内も魔族にほぼ制圧されました。
 これが届く頃にはもう占領されているでしょう。
もしまだ間に合うなら、フィアル領内には暫く近づきませぬよう』

知らせの書かれた紙は所々血痕らしき跡が滲み、その知らせを持ってきた伝令鳥も体中煤で汚れ、傷だらけだった。
レイザスは只ならぬ事態に直ちに騎士団の編成を解き、フィアルへの遠征を取りやめ、そして1時間ほどしてのち、魔族にバレぬ様に、魔術と剣術に長けた騎士団員をひとりフィアルへと派遣する。


黒髪の青年…サガは、国王直属のコードティラル神聖騎士団に所属する騎士の一人だ。
このリーフ大陸では珍しいとされる黒い…漆黒の髪を持ち、魔術にも剣術にも長ける才がレイザスからも一目置かれている。

何より、彼には他の誰にも無い、ある特別な力があった。




* * * * *

フィアルは城と城下を守るように森林地帯が周囲を覆っている国だ。

その城下を抜けた先にある森の中を、一人の少女が懸命に走っている。
何かから逃げるように。
パチパチと音をたてて燃える森の中を、何度も振り返りながら、よろめきながら、少女はただ一心不乱に走り続ける。

正直、何が起こっているのか良く判っていない。
突然街中に火が放たれ、街は魔物の海に飲まれた。
母に逃され、ただただ逃げてきた。
怖くて振り返れなかった街の中は、酷い有様だろう。
街の向こうの城からは黒々と煙が立ち昇って見える。

「待て、人間!」

次第に自分を追いかけて来る魔物の声が聞こえ始めた。

「お前が最後だ!」

「観念して殺されろ!」

耳を突くような甲高い笑い声が迫ってくる。

“…誰が…誰が殺されるものか…!”

少女は涙を堪え、歯を食い縛った。
しかし、走り続けていた足は限界を超えていたのか、足元の木の根に足を取られて少女は勢い良く倒れこむ。

“もう、なんで…!”

少女はフラフラと頭を上げ、体を起こし立ち上がろうと地面に腕をつく。
だが、上体までは何とか起こしたが、足はもうまるで力が入らず動けない。

“…うそ…どうして…”

“動いて、お願い…!”

何度も立ち上がろうとするうち、ついに魔物たちが追いついてきた。
追ってきたのは3匹、だろうか。少女が倒れているのに気付き、わざとらしくゆっくりと近づいてくる。

「ここで終わりか、人間。」

「もう疲れたろ。人間は弱いな。」

耳を突くような声でケタケタと笑い、魔物の1匹が長い爪を振り上げる。

「じゃあな。これで俺たちの仕事もようやく終わりだ!」

長い爪が振り下ろされる瞬間、少女は目をつぶった。

“…もう、だめ…!”

しかし、自分が切り裂かれるであろうと思っていた瞬間に、魔法の詠唱の様な言葉が聞えてきた。

それは、辺りを包む闇を、まるで切り裂くような研ぎ澄まされた声。

「貫け!《焔の刃フィア・スティル 》!」

その声に反応する様に、閉じた瞼の向こう側で激しく何かが閃光し、そして何か大きなモノが吹っ飛んで、近くにある木々に勢いよく激突する音がした。
その音にびっくりして少女が閉じた目を恐る恐る開けると、目を開けた自分の目の前に、いつの間にか見知らぬ誰か…青いマントの黒髪の青年が、自分を庇う様に3匹の魔物の間に立ち剣を構えている。

「大丈夫だった?」

ふぅ、と一つ息をつき、その青年は軽く少女を振り返る。
声をかけられ、少しびっくりしながらもコクコクと頷く少女を見て、青年は安心した様に軽く少女に笑むと、キッと目の前の魔物たちを睨み付けた。
吹き飛ばされた魔物たちがにじり寄る。

「キサマ、何者だ…!城の人間は粗方殺した筈だぞ!」

「どうして魔法の使えるヤツがまだいるんだ!」

そう口々にキーキーと叫ぶ魔物たちに、青年は呆れた様に肩を落とした。

「低脳な魔物たちの考える事だな、趣味の悪い…。
まず魔法の使える人間の多いフィアルの王城に奇襲をかけて、そしてそこの人間を封じ込み、誰も助ける事の出来ない状
況下に追い込んで、残りの何の力も持たない人間をいたぶる様に襲い掛かる…。最低すぎて反吐が出るな。統率するヤツの程度が知れるよ。」

そう言いながら、青年は構えた剣の柄を魔物たちに見せた。
その柄には銀の装飾の紋章が刻まれている。

「俺はコードティラル神聖騎士団、サガ・ギルディア!国王の勅命により、フィアルの生存者の保護に来た!…そんなわけで、この子は俺の任務の対象者だ。この子にこれ以上手を出すのなら、ここから先は俺が相手になる!まとめてかかって来い!」

「人間風情が!」

魔物が一斉に襲い掛かってくる。
サガは羽織っていた青いマントを後ろの少女に被せる様にふわりと脱ぎ捨てると、剣を構えなおし、2歩程前に踏み出し、襲い掛かる魔物を舞う様に斬りつけていく。
そして剣を下ろし、片手で素早く宙に魔法陣を描き詠唱した。

「…《闇の刃ヴォル・スティル》!」

 その声で、さっき突然被されたマントを恐る恐る取り、少女が辺りを見渡すと、3匹の魔物が無数の黒い刃に貫かれ、地面に倒れ伏していた。
それを見て思わず少女は頭から被ったままのマントで顔を思わず覆う。

「キサマ…っ、なぜ…。
その魔法は……!」

倒れた魔物の1匹が押し出すようにそう声を上げると、サガは剣についた魔物の血を軽く振って払い、鞘に剣を収めながらそれに答える。

「何故って、使えるんだから仕方ないだろう。…それより…。」

サガは手の平の上で魔力を込めた光弾を作り、魔物たちにそれを放つ構えを取りながら魔物たちに言った。

「一応、まだ動けるようにしといたつもりなんだがな。
…帰って、皇帝様にでも伝えてくれないか?これ以上舐めたマネしてくれるなってな。」

魔物たちはのろのろと立ち上がり、サガを睨み付ける。

「ここで我らを退かせても結果は同じだぞ…黒髪!」

「我らは全てを根絶やしにする。」

「その娘の命も、必ず…!」

そう言いながら魔物たちは魔法で姿を消す。
それを見届け、サガは手の平の光弾を収めて大きく息を吐いた。
後ろを振り返ると、少女が顔をマントで半分覆ったまま不安げにこちらを見てる。

「…もう、大丈夫だと思うよ。」

サガはそう声を掛けながら、少女の前に屈み、優しく笑いかけた。
そう言われておずおずと被っていたマントを取ると、少女はホッとした様に顔を緩ませてサガを見上げる。

「有難う…ございました…。」

「どういたしまして。…間に合って良かったよ。」

サガにそう言われると、少女は思い出したように手にしているマントを彼に返そうとそのまま手を伸ばしてきた。
それに気付いてサガがマントを受け取ろうと手を伸ばすと、彼女の手が震えているのが伝わってきて、マントを受け取ると、安心させるように優しくその頭を撫でてやる。

「…さっきも軽く名乗ったけど改めまして。俺の名前はサガ・ギルディア。ここにはコードティラルの王様の命で来たんだ。
…君の名前は?」

「ラシェリオ…ラシェリオ・クライドールと申します…。」

「ラシェリオか。
…んーと、『ラシェ』でいい?」

「あ、はい…普段もそう呼ばれていますので…。」

ラシェがコクコク頷くと、そっか、とサガは微笑んで立ち上がった。

「えっと…。
それじゃ、ラシェ。とりあえず雨も酷くなってきてるし、さっきのやつらがまた来るとも限らない…。
ひとまずこの場を離れたほうがいいと思うんだけど、動けそうかな?」

サガにそう尋ねられ、ラシェはハイ、と答えて立とうとした時に思わず顔を歪めた。

「……っ。」

「怪我…してるのか?」

サガは再びラシェの前に屈みこみ、ちょっとゴメンネと言いながら彼女の足を見た。
木の枝ででも切ったのか、右の方の足首に割と深そうな傷がついていて、出血も酷い。

「さっき、魔物に襲われた時転んでしまって…多分その時だと…。
ごめんなさい、さっきまでこんなに痛くなくて、気付かなくって…。」

「(まぁ、魔物に襲われてる状況下でそれどころじゃなかっただろうしな…)」

どうしよう、と泣きそうな顔で青冷めているラシェにそう思いながら、サガはおもむろに、持っていたハンカチを取り出し彼女の足の傷口を縛る。

「ひとまず止血な。
…俺、治癒魔法は使えないんだ。ちょっと痛いだろうけど…暫くこれで我慢してね。」

「すみません…。」

「気にしないで。
…しかし出血も酷いし傷も大きいな…これは急がないと…。」

そう言いながら、サガはラシェの頭に再び自分のマントを被せ、よっ、と彼女を抱き抱えて立ち上がった。

「え、えっと、あの…!」

「雨酷いから、そのマントは被ってるといいよ。今、馬のトコまで行くから。」

ラシェが急に抱き抱えられてびっくりしているのを気にもせず、サガはすたすたと道を歩いてゆき、少し広い所に出た所で指笛を吹く。
すると、森の…サガが来ただろう方角から馬が一頭、颯爽とやって来た。

「よし、来たな。
…早く治さないと傷跡残っちゃいそうだしな。…コードティラルまで行けば、治癒魔法が得意なヤツがいっぱい居るから安心して。」

サガはやって来たその馬にラシェを乗せると、自分もラシェの後ろ側に跨り馬を出した。


馬の背に揺られながら、ラシェはおもむろにサガを見上げた。
サガは何も言わず、ただ黙々と馬を駆っている。

“フィアルは…、
駄目…だったんだろうな…。”

一度フィアルの方へ戻ろう、とも言われなかった。
恐らく戻っても仕方がない状況なのだろう。
自分ひとりではどうしようもない程に…。

ラシェは唇を噛み締め、ただ静かに涙を流していた。



* * * * *

 
コードティラル神聖王国は、フィアルより南東に位置する、大陸で最大の国だ。
多くの聖職者を抱え、城のあるティラルには魔物の侵入を決して許さない、巨大な神聖結界が張り巡らされ、この大陸でも一番安全だとされる国である。
コードティラル神聖王国の国王レイザスは、その歳こそ未だ若いながらも国を統治しているのだが、自身も非常に強い法力を持つ高位神官であり、温和で人柄も良い為、国民からも絶大な支持を受けている。

そんなレイザスが国に置く騎士団が『コードティラル神聖騎士団』だ。

それは、一国の騎士団とは言ってもあまり仰々しいものではなく、あくまでレイザスが何事にも動かしやすい様に、少人数精鋭で編成された、いわば遊撃隊のようなものである。



 
「…つまりだ。
知らせを受けて2時間しないうちに、フィアルは壊滅状態に追い込まれたっつー事だよなぁ…?」

「サガ曰くは、…酷い有様、だったらしいな。」

王城の敷地内にある騎士団宿舎の中にある食堂。
何やらそわそわした様子の青髪の青年と、静かに紅茶を飲む綺麗な顔立ちの金髪の青年が、少し前に任務から戻ってきたサガから聞いた話を確認する様に話していた。

「フィアルっていったら、兵士も結構な使い手が居たはずなんだけどな。」

「それでも歯が立たなかった、って事だろ?サガの話じゃ、街に入った途端から、足の踏み場が無いくらい酷くて、城なんか、街から見ても判るくらい焼け落ちてたって話じゃないか。
…そりゃ、あの子●●●連れて行けないよな…。」

サガは、あれからコードティラルに戻ってきたがすぐに城には登城せず、
戻ってきたという報告と、ラシェの怪我の治療など済ませてから改めて彼女とともに登城するという旨を、宿舎に詰めていた兵士の一人に伝令を頼み、今はラシェの怪我を診て貰うのに付き添っている。

そうこうしているとサガが食堂にやって来た。

「あの子の足の怪我、治りそう?」

入ってきたサガに、持っていた紅茶のカップをテーブルに置きながら、金髪の青年が彼に声をかけた。
サガは、あぁと頷く。

「さっすがカミアさんだよ。結構ざっくりいってたから心配だったんだけど、綺麗に傷が消えちゃったよ。」

「そりゃ良かった。女の子なんだからどこについてたって傷なんて残らないに越したこと無いもんな。
…で、お前は治療も終わって追い出されて来たんだな?」

「まーね。服も着替えさせてあげたかったし、別にいーんだけどさ…。
…ラミに速攻で追い出された。」

サガは軽く苦笑いした。
すると傍に居た青い髪の青年が、目をキラキラさせてサガに訊く。

「で、そのラシェちゃん、俺の予想では凄く可愛い子だと睨んでるんですが!そこの所詳しく、このクォめにお教え願えまいか!サガちゃん!」

「…なぁにが、願えまいか!だ。
判っててもお前には教えん。」

“えーなんでー”と青髪の青年…クォが口を尖らせると、金髪の青年が首を傾げた。

「あれ?…確かに俺らがここで見た時は、あの子、お前のマント頭から被ってお前に抱えられてたから、俺らは良く顔見えなかったんだけど…。
サガ、お前も顔見てないの?」

「見てない訳じゃないけど…、森の中は木やらが燃えてる所為で暗かったり煤だらけだったりで凄かったし、雨酷いからずっと傘代わりにマント被せてたから、よくよくは見てないよ?
…さっきも、もう外せばいいのにマント被ったまんまだったしな…。」

「うおー!ますます気になる!俺的にはあの声から幼い系美少女を想像しちゃってるけど、バトーちゃんばりにキリッと美人でも構わんぞ!」

クォがそう叫ぶと、金髪の青年…バトーはクォを思い切りよく小突いた。

「誰が美人だ、誰が!」
 
余談だが、バトーは声こそ男だが女顔の美人さんである。

「えぇ、確かに可愛らしいお嬢さんですよ。」

そう言いながら、食堂に一人の女性がやって来た。
淡いミントグリーンの長い髪で、物腰柔らかそうな顔と、長い耳。

「あれ?カミアも追い出されたのか?」

バトーがそうその女性・カミアに尋ねると、カミアは楽しそうにふふっと笑った。

「ああいう事は、ラミが得意ですから。」

「…ああいう事?」

はて?とサガとバトーが首を傾げると、クォがあーあと呆れ顔になった。

「さてはラミのヤツ…またビョーキが出たな…。」

そういうクォの顔は、半分羨ましそうにも見える。
しかしその瞬間、食堂の入り口から、弾丸の様な●●●●●スリッパが飛んできて、モノの見事にクォの顔面に直球でストライクした。

「だぁれがビョーキよ、誰が!」

見ると食堂の入り口に、明らかに何かを投げ終わった構えをしている、長い緑の髪をポニーテールにした女性がクォを睨んでいる。

「スリッパを超高速で投げ飛ばすなんて、なんて馬鹿力だよ、ラミ!」

いてーだろアホ!とクォが涙目で言い返す。
ふふんと鼻を鳴らし、緑の髪の女性・ラミが、上機嫌でサガ達のところへやってくる。
…その後ろの、おどおどしている少女の手を引きながら。

「ラシェさん、いい服は見つかりました?」

カミアにそう声を掛けられると、ラミに手を引かれている少女…ラシェが、コクコクと頷いた。

「は、はい…。いっぱい服見せて頂いたので、迷ってしまいましたが…。」

申し訳なさげにしているラシェに構わず、ラミがどーよ!とラシェを皆の前へと出す。

「ちょっと、もぅ見てよ!めっちゃくちゃ可愛いんだからこのコ!アタシの持ってる可愛いの、全部似合うんだもん!髪の色も綺麗だし、色も白いしっ。」

「そ、そんな事ないです…っ。」

ラミに褒められラシェが真っ赤になる。
その会話で、サガは改めて自分の助けた少女を見た。
薄暗い森の中…しかも雨で視界も悪かったから、今までよく判らなかったのだが、確かにラミの言うとおりの綺麗な色の…薄い菫の色をした髪で、それは角度によっては銀色に輝いても見える。

 “確かに、綺麗な色…だな。”

真っ黒な自分の髪とはまるで正反対だ、とサガが見惚れていると、ラミがニヤッと不敵に笑った。

「やだ、サガ。アンタこのコの傍に結構居たくせに、何改めて見惚れてんのよ。」

「な…っ!…いやっ、俺は…別に…っ。ただ、知り合いに似てるなって……!」

「まー、お堅いサガもそりゃ可愛いと思うわよねー。だって可愛いもんねー。」

バツが悪くてそっぽを向くサガにそう茶化しながら、ねー?と笑ってラミはラシェに抱きついた。どうしていいか判らず、ラシェは真っ赤になったまま、とりあえずラミにされるがままになっている。

「ラミはホント可愛いものが好きですねぇ。」

その様子をカミアが微笑ましく笑った。
その隣でクォが拗ねる様にムクれている。

「くそ!俺も可愛い子に触りたい…!」

「…お前、その発言ヤバいぞ。」

思わずクォが口走った言葉に、後ろで椅子に座っていたバトーが冷静につっこみ、

「それはそうと…。
…お前ら、このお嬢さんに自己紹介をきちんとしようとか思わないのか?」

と呆れ顔で紅茶のカップをテーブルに置いて立ち上がり、ラミの腕の中で真っ赤なままのラシェに言った。

「俺はバトラ・アディクス。…バトーでいい。コードティラル神聖騎士団の団員の一人だ。よろしくな。」

「まー騎士団って言っても、街の自警団くらいに思ってくれてて大丈夫だからね。」

ラミがバトーに補足説明をして、ラシェを離して向き直る。

「次はアタシね。…さっきも着替えしてる時に軽く名乗ったけど、一応改めまして。
私はラミリアーク・パドゥ。みんなには、名前長いからラミって呼ばれてる。ラシェみたいな可愛い子に会えて嬉しいわ。」

「あ、俺だって嬉しいぞ!」

クォがラミに割り込んでラシェとの間に割って入り、ラシェの手を恭しく取る。

「ラシェちゃんみたいなカワイイ子に会えて嬉しいよ!…俺の名前はクォ・ラディマ。
皆に愛され尊敬される、我がコードティラル神聖騎士団の団長を務めているんだ!」

「…自警団レベルの、ですが。」

ラシェの手を取るクォの手を剥ぎ取り、カミアがニコリと一言添えた。

「わたくしも改めまして。カミア・フリート、と申します。ご覧の通りのエルフです。エルフなので本来は更にもう少し長い名前なのですが、結構不便なので、これで覚えていて下さって構いませんわ。またお怪我などされましたら、掠り傷からでもお受けしますので、お気軽にご用命下さいね。」

「はい、…キズが綺麗に無くなって、ホントびっくりしました…先程は有難うございました。」

ラシェがペコリと頭を下げると、カミアは満更でもない様子でふふっと笑んだ。

「いえいえ、女の子ですもの。傷なんて残らないに越した事は有りませんわ。…まして先程診たお怪我は結構深くて大きかったですから、早くに診る事ができて良かったです。
…急いで連れて来てくれたサガのお手柄ですね。」

カミアがそう言いながら後ろで聞いていたサガに振り返り、ニコリと笑った。
サガは照れた様に鼻の頭を掻く。

「…別に、俺は治癒も出来ないし…、傷が痛いだろうから、ただ急いだだけだよ。…傷痕なんて、誰だって残らない方がいいしな。」

「…そんな。サガ様のお陰です。有難うございました。」

ラシェがそう言いながら深々と頭を下げた。
サガはびっくりして急いでその顔を上げさせる。

「いいっていいって、頭なんか下げなくても!俺、ホント何にも出来ないから、とにかくカミアさんに診せないとと思って連れて来ただけだし!
…そしてその…『様』って付けるのはやめてくれないかなっ。何かムズムズするんだ!」

そう矢継ぎ早に言われて、何故?という顔をしてラシェはキョトンとする。
一呼吸間を置いて、ラシェとサガ以外全員一斉に笑い出した。

「あはははっ!」

「そりゃ普通、一般的にそうなんだからしょうがないだろ、サガ!」

「いい加減慣れろよ、『騎士扱い』されるの!『騎士』なんだから!」

「嫌なモンは嫌なんだよ!」

サガが皆に笑われて真っ赤になって顔を押さえる横で、ラシェがオロオロと困った顔でサガと皆を見比べる。

「え、えっと、あの…私…。」

「あーごめんね、ラシェ。
コイツ、一応、王宮を自由に歩ける『騎士』なんだからいい加減慣れればいいのに、人から『~様』とか付けられるの本気で苦手なのよ。だから王宮の中じゃ、コイツだけ衛兵から『さん付け』で呼ばれてるわ。」

笑いを堪えながらラミがラシェに弁解すると、サガがキッと睨んだ。

「自分なんて、人様から『様』付けで呼ばれる程凄い人間じゃないって思ってるだけだよ!何かムズ痒いだろ!だから、ラシェも『様』つけないでっ!」

「は、はいっ、すみませんでした、サガさんっ。」

ラシェが言われた勢いでそう返答を返すと、また一呼吸間を置いて、サガとラシェ以外皆が吹き出す。

「ラシェ、あんたホンット、いい子ねー!」

ラミがひーひー笑いながらラシェの頭を撫でる。

「…だったらさ、サガだけズルいし、私らも『様』付けないで呼んで?」

「それもそうだな。なんなら別に呼び捨てでいいよ。」

「うんうん。」

「そうですわね。」

皆が口々にそう言うと、ラシェはとんでもない!と言わんばかりに激しく首を横に振った。

「呼び捨ては…ちょっと…。
あの、じゃあ…ラミさん、クォさん、バトーさん、カミアさん、でいいですか…?」

ラシェがおずおずとそう呼ぶと、みんな一斉に嬉しそうに笑った。
ふと、サガがまだ少し赤い顔を押さえつつ、ラシェの頭を撫でてくる。

「…とりあえず、皆と仲良くなった事だし、登城するか。陛下が報告待ってるしな。」

「あ、あの…。陛下って…王様にお会いするんですか…?…その…私が…?」

「うん。
…むしろ俺の報告より、ラシェと話がしたいと思うからね。」

「で、でも…私…。」

ラシェがどうしようと表情を落とすと、サガはラシェの頭を撫でていた手を一旦止め、またヨシヨシと撫でだした。

「大丈夫大丈夫。俺も連いて行くし、…頼りになるかは判らんが、そこのおニィさん達とおネェさん達も一緒に行くから。」

「ぶ~。頼りになりますぅ。」

すかさずラミとクォが口を揃えてそう言い返した。
それを見てラシェが思わずフフっと笑う。

「あら?」

それを見てカミアがニコニコと微笑んだ。
バトーも微かに笑んでいる。

「やっぱり可愛いわ。」

「女の子は笑顔がイチバンっ!」

そうクォとラミに言われ、ラシェは首を傾げた。

「えっと…あの…?」

「俺も初めて見た、な。
…うん、二人の言うとおりだ。」

それだけ言って、サガはラシェの頭をポンッと叩いた。

「…とにかく行こうか。堅くならなくていいよ。ウチの王様は、気さくな人柄で有名なんだ。」

「はい。」

ラシェはニコッと笑った。





どうやら先程の、皆の言っていた事はホントらしい。
確かに城の入り口の衛兵や場内のメイドさんや執事さん達…、その全てが、サガ以外には『様付け』、サガには『さん付け』で呼んでいる。
ねー、徹底してるでしょ?
とはラミの言葉だ。
謁見の間へ向かう間、やはりその話題になった。

「サガにはねー『王城の騎士の自覚』ってものが無いのよ。」

「別に呼ばれ方とかちゃんとしてなくても、仕事はしてるんだからいいじゃないか。」

呆れてため息をつくラミにサガは慣れた様に言い返した。
隣でバトーがツンケンと言う。

「そこがお前の憎らしい所だ。…大体、何で今回のフィアルの件、お前が一人で単身潜入なんだ?今回みたいな事態の時こそ、俺たち少人数騎士団の出番じゃないのか?」

「仕方ないだろ。今回は、出来うる限り少人数が良かったんだからさ。」

「で、なんでお前が一人で、なんだ。そこの馬鹿団長とかも使えばいいだろ。」

「馬鹿って何だよー。
とかって何だよー。」

クォがバトーの言葉にワザとらしく、ぶぅーとムクれながら言う。

「第一、俺は魔法使えないから駄目なんだってー。打たれ弱いから駄目なんだってー。そう陛下に言われましたぁ。どーせ使えませんよー。」

「…確かにクォの魔法に対する打たれ弱さは賞賛に値するからな…。」

バトーはハハッと苦笑いした。
魔族や魔物は、主に魔法を纏ったり放ったりの攻撃が多い。
今回はそんな魔物達や魔族達が、あくまで小規模で、かつ、派手に魔法を使ってフィアルに攻め入っている事が伝令によって伝わっていた。
魔法の使えない者は、魔法に対する耐性も弱い。
おのずと誰が行くのかは絞られてくる。

「サガは魔物や魔族の知識が豊富だし、何より誰にも使えない『チカラ』を持ってるからね。剣もそれなりに使えるし、こういう場合はやっぱ仕方ないんじゃない?」

ラミが諦めた様にそうぼやくと、ラシェが首を傾げた。

「あの…。サガさんの、誰にも使えない『チカラ』ってなんですか?」

その問いには、サガではなくバトーが答えた。

「ラシェはさ、魔法についてどれくらい知っている?」

「…どれくらいかと言われたら…。えっと…、火と水と土と風…それから光の属性があって、誰でも使える訳じゃなくて、使える人と使えない人がいる…とかくらいなら知ってる程度…です。」

「まぁ、一般の人間が知ってるのはそんなもんだな。大体、魔法の力ってのは人々の生活に直結してる力が多いから、容易に連想できると思う。火は火だし、水は水。…でもね、一般的には知られてない、魔法がもう一つある。」

「…『闇』。」

サガが一人、前を歩きながら声を出した。

「普通の暮らしをしてる人間は、まず見る事はないと思う。…大抵、魔物や魔族が使う『チカラ』だから。」

「それが、誰にも使えない『チカラ』…。」

「誰にも使えない…かどうかは正直判らないけどね。少なくとも、使える人間は今までこの国では報告されてないかな。」

「…『闇』って、どんな魔法なんです?」

ラシェにそう問われ、サガは苦笑いして返した。

「んー。ちょっと表現しようが無いんだよな。影を纏うっていうか…影を操る、っていうか…。
あ、実践して見せるのは、ちょっとカンベンね。…結構疲れるんだ、アレ使うの。攻撃的な事しかできないしね。」

「そうですか…。」

ラシェはそう言われ、ふとフィアルで魔物に追われた時の事を思い出す。
見たのは、自分が城下から逃げる時だ。
確かに魔物たちは、まるで手品のように、火の無い所から次々と火を取り出すように、黒い炎を出していた気がする。

『あれがそうだったんだ…』

…魔物達が使う、黒い魔法。
サガは、ラシェの顔が知らず知らず青冷めているのに気付いた。

「ラシェもフィアルで多分見てると思う。あれがそう。
…俺は、その力を使う事が出来るんだ。…正直、普通の人は使えなくて当然のモノだし、魔力の根源もまったく普通の魔法とは異なるものだ。
…まぁ、さっきも言ったけど、使うと凄く疲れるから滅多に使う事ないし、安心して?」

サガにそう心配そうに顔を覗き込まれ、ラシェはそこでハッとして、ぶんぶんと首を横に振った。

「だ、大丈夫です、ごめんなさい。サガさんが怖くなったとかそんなのじゃなくて…、
ちょっと…思い出しちゃっただけなので…。」

「…そっか。」

サガは少し安堵した顔で、よしよしとラシェの頭を撫でた。
横からバトーが付け加える。

「…実際、本来魔物しか使えないはずの『チカラ』が、サガという存在として手に入った俺達にしてみれば、結構心強くもあるんだ。
…陛下も陛下で、ここぞっていう時は、大概サガの事使うしな。」

「ま、適材適所、ってやつですかねー。」

クォがそう言って、「でも俺、騎士団長なのになー」とボヤく。
カミアがふふっと笑んで、話題を変えるようにラシェに言った。

「そう言えば…、ラシェさんは魔法は使えないのです?」

そう言われて、ラシェはコクコクと頷く。
それを見て、カミアはフム、と唸った。

「治癒魔法も?」

「はい。足の怪我も診て頂いたくらいですし…。」

「まったく?」

「は、はい…。」

「そうですか…。」

何だろう?私何かしたのかな?という顔で、ラシェがおろおろとカミアの顔を窺っている横で、ラミが何かに気付いた様にカミアに訊いた。

「なぁに、カミア?どうしたのよ?」

「…ラミ。宿舎の部屋、まだ余裕ありますよね。」

「ん?…そーね、物置に使ってるトコと、何かの時の為の1部屋があるわよ。まぁその部屋、誰も使ってないと埃たまるから、アタシが掃除がてらに結構色々置いちゃってるけど。」

それだけ聞くと、カミアはニッコリと笑った。

「ラミの『結構色々置く』は、全然OKですわ。
…特に今回は。」

その言葉に、ラミ達は不思議そうに首を傾げる。
カミアはそれを見て不敵にうふふと笑うと、「さ、早く行きますわよ」と皆を促した。

…どうやらこれは、何かを思いついたらしい。






『出会いは、はじまり。』*fin*





続きはこちら

yourin-chi.hatenablog.jp





おわりに

冒頭部分の掲載が一番最後ってね…
...( = =)

ここまでしか推敲ストックが無いので
あとは
私が新しく推敲しつつ続きを書くしかありません…
書き写しながらの推敲なので
かなり無理ゲーなんだけども。
本編として
こうなったら記憶の限り書き直すかなぁ…
そうなると今まで載っけたやつ、
細かい部分書き直したい…
少なくともエルフの里編は終わらせないとねー(^^;
…しかしヴィランズSSも進めたい…
(悩みどころ)

ひとまず今は
息抜きに自国ハロウィンSS書いてます!
(間に合うかは謎)


相変わらずお絵描きは
今も絶賛迷走状態なんで(笑)
頑張ってラクガキする様にしてます。

スランプ抜けると
成長してる事多いので俺!(ง •̀_•́)ง

暫くTwitterなんかで
突拍子も無くラクガキぶっ込んだりしますが
生暖かく見守って頂ければ幸いです
(´>ω∂`)





カプ絵描けないの、辛い…!
。゚゚(´□`。)°゚。










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