テキトー手探り創作雑記帳

個人的な趣味なモノを、書いたり描いたり

【PFCS】SS『いつか見た夢を』

はじめに

今回は久々にSSです。

1週間前に書き始めた筈なんですが…
ようやく(無理矢理)書けたトカ…

ほのぼの?と
ラブ
入ってます。

惚気満載です。(←閲注?笑)


さて、今回は
リーフリィ勢の主人公格・クライドがメインです(^^)

クライドが
いかにラシェの事が好きか、と言うお話です。

ああ6月も終わりだ…
知らない内に誕生日過ぎてました…

少しくらいジューンブライド時期を意識した話を書いてみましたよ。

らぶらぶしてる話を書きたかっただけだよ!


大丈夫、
えろくない。
むず痒いだけ。



SS・『いつか見た夢を』


これは、
とある満月の夜の日のお話。





「困ったなぁ…。」

クライドは、眉間にしわを寄せ、思案する様に顎に手を充てる。
普段、大体の事には動じない性分だが、珍しくも対処に困る事態が起きていた。

…目の前には 衣服を纏っていない、幼い女の子。
歳は1、2歳…といったところだろうか。
足元がまだおぼつかない感じだ。
肌の色が白く、黒い髪に紫水晶の瞳。
黒い髪だから、恐らくはグランローグ系統で、推定はアルビダ系と思われる。

その彼女は、
ニコニコとクライドの足元にしがみ付いて…離れない。

この子は、夜の見廻り当番に出ようと目覚めたクライドの枕元に、ちょこんと座っていた。

…誰かから預かった記憶は無い。

「…どこから来たんだ?」

クライドは目の前の少女に尋ねた。
少女はニコニコと小首を傾げる。
予想はしていたが、クライドは ハァ、と一つため息をつき、質問を改めた。

「……。…えっと、じゃあ名前は?言えるかな。」

そう尋ねると、少女はまたニコッと笑って答えた。

「……『るーちぇ』。」

『ルーチェ』のその笑顔が、何と無く誰かに似た…見覚えがある顔な気がしたが、誰かとは不思議とすぐに結びつかなかった。

…とにかく、
ルーチェを一人にする訳にもいかず、自警団の詰所に連れて行けば、誰かが助け舟を出してくれる気がして、
クライドは、ひとまずルーチェに自分の服を適当に1枚羽織らせて、一緒に詰所に出勤する事にした。

******


今日の夜の見廻り当番のクライドのバディは、バトーとクォルだ。
交代待ちしていたラミリアも詰所にまだ居て、先に来ていたバトーと話をしていた。

黒髪の幼いルーチェを抱っこして現れたクライドに、バトーが開口一番こう言った。

「……。お前、子供居たのか…?」

「居る訳無いだろ!」

「…見事な黒髪がそっくりなんだが。」

「偶然だ、偶然!」

トーの言葉に即座に反応するクライドをよそに、ラミリアは、クライドに抱っこされた幼い少女をすぐにロックオンした。

「やーん!可愛いー!…ねぇ、ちょっとどうしたの、この子?迷い子ちゃん?こんな時間に?あれ?でも服はクライドのよね?」

「…さっき起きたら居た…俺が聞きたい…。
服は、着てなかったから適当に俺の着せたんだ…何とかしてやってくれ…。」

ゲンナリした顔で答えつつ、クライドは、さりげなく手を伸ばして来たラミリアにルーチェを託した。
ルーチェはラミリアに にこぉっと笑いかける。

瞬間、ラミリアはメロメロになった。

「か、可愛いー!人見知りしないのね…。よーし、ちょっとお姉ちゃんとこおいで!何か可愛い服無いか見に行こう!……あ、そーだ…もしかしたら…、」

そうブツブツ言いながら、ラミリアはウキウキとルーチェを抱っこして詰所の奥の方に消えていった。
それを見送り、クライドは改めて大きなため息をついて近くの椅子に腰掛けた。
トーが怪訝な顔で訊き直す。

「…で?起きたら、あの子が部屋に居たって?」

「ああ。…もう何が何だか…。」

言いながら机に突っ伏すクライドに、バトーが尋ねた。

「お前、直前に何か『夢』見なかったか?」

「え、夢?」

「いや、少し、ある話を思い出してさ。…今日は満月だし。」

言いながら、バトーは詰所の窓から空を見上げた。
見ると今宵は満月で、丸い月は丁度高く登らんとしている。

「満月の夜は魔力が高まるからな。…精霊の森の魔力固定化儀式とか有ったろ?
…あと、コレは俺の故郷の話なんだが…、」

「えっと、…『水の部族』の?」

「ああ。
…稀に、魔力が高い者が 満月の日に守護精霊の夢を見ると、精神体である守護精霊を『具現化』させちまう事が有るらしい。
…俺には守護精霊は居ないから、真偽のほどは定かじゃ無いがな。」

「守護精霊…ねぇ…。」

「お前程魔力が高けりゃ、あながち本当にやりそうだなと思ってな。」

魔力精霊を『創造』するなんて、
正直、『造形魔法』の範疇すらも超えている。
トー的には眉唾モノの話だったが、考えてみれば、クライド程の魔力を持つ魔法使いであれば、案外可能なのかもしれない。

「…『夢』か…。」

ふむ、と
クライドは どんな夢を見ていたかを思い出そうとしてみた。

…そう言えば、
珍しく夢の内容を鮮明に覚えている。
だが、精霊なんて出てこなかった。
だって、出てきたのは…

「お疲れ様です。クライドさん、バトーさん。」

不意に、今まさに思い出そうとしていた人物●●●●●●●●●●●●にそう声をかけられ、ボンヤリとして考えていたクライドは、いつになく盛大に体をビクッとさせて驚いた。
…普段動じる事の少ないクライドが、そんな感じに驚いてしまったので、声をかけてきた…ラシェは、慌てて謝る。

「わわ、スミマセン!驚かせてしまって…!」

「あ、いや、大丈夫…!ちょっと考え事してたもんだから…。」

悪くも無いのに謝るラシェを宥めようと彼女を見ると、その腕には 可愛い服を着せられたルーチェが抱っこされていた。
クライドはジトーっとした目で、ラシェの後ろにいたラミリアに尋ねる。

「もしかして、ラシェ…起こしたのか?」

「起こした、というか…。ラシェの部屋の前を通りかかったら、急にその子がラシェの部屋に勝手に入っちゃってさ…。」

そう言われ、ラシェに抱っこされているルーチェを見やると、ルーチェはニコニコとラシェに抱きついた。
ラシェは、よしよしとルーチェの頭を撫でながら口を開く。

「私は大丈夫ですよ。丁度、喉が渇いて起きていたところでしたし。
それにしても、一体どこから来ちゃった子何でしょうか…?」

「…本当にな…。」

困り顔で返しながら、クライドは改めてラシェとルーチェを見た。
そして、ハタと気づく。

『…そうだ、この子…ラシェに似てるんだ。』

いつも見ている顔だし、
…何より、さっき夢でも見た顔なのに。
何故すぐに結びつかなかったんだろう。

そう不思議に思っていると、突然詰所の入り口から、夜中に相応しくないテンションの声がかかってきた。

「何その将来有望そうな黒髪少女ぉぉー!」

言わずもがな、…クォルだ。

あーメンド臭いのが来た…

と、クライド、バトー、ラミリアが思っている内に、クォルはズカズカとラシェに抱っこされたルーチェに近付き、恭しく小さな手を取った。

「お嬢さん、ちょっと俺様に抱かれてみない?」

え、
とラシェが口にする前に、超高速でラミリアの稲妻のような手刀が、クォルの脳天に突き刺さった。

「アンタが言うと犯罪だわ、アホッ!」

「何だよー、抱き上げるくらい良いじゃんかー!俺様も愛ーでーたーいー!」

「犯罪犯罪ー!」

そんなやり取りを解ったのか、ルーチェが、ラミリアに絶賛叩かれているクォルに向かって、手を伸ばした。

「くお にぃ、だっこ…。」

!!!!!!!!!
ルーチェの言葉に、全員が驚く。

「えっ、ちょっ…俺様の事解かんの、この子?」

驚きつつ、クォルは手を伸ばしてくれたルーチェを、ラシェから抱き上げる。
抱っこされたルーチェは、クォルの首にぎゅーっと抱きついた。

「かっわいいなぁ〜!
…よぉっし、お兄ちゃんとこれからいっちょ一緒にランデ、ぶ、
…ぅ、ぐふぅっ!」

クォルが言い切らない内に、バトーがルーチェを剥ぎ取り、ラミリアがクォルの鳩尾に鉄拳を捩じ込むという神業的な連携を見せる。

「お前、守備範囲広過ぎるのも大概にしとけよ…。」

トーは抱えていたルーチェを、そのまま またラシェへと手渡す。
するとルーチェは、

「ばと ちゃ、らみ ちゃ!」

と、今度はバトーとラミリアの名前を呼んで、手足をジタバタさせる。
ラミリアが代わってラシェから抱き上げると、ルーチェはまたにこぉっと笑ってラミリアに抱きついた。
またメロメロになりつつも…ラミリアは小首を傾げる。

「不思議ねぇ、何で名前が解るのかしら。初対面よね?」

「…しかし、何でクォルは『クォ兄』で、俺は『バトーちゃん●●●』なんだ…。」

むぅ、と顔をしかめつつ、バトーはクライドを見やる。
クライドは心底困り果てた顔を返した。

「何故、俺を見る…?」

「出会った状況と、あの子の言動を推察すると、…もう、十中八九 お前が原因だろう?
…ちびっ子が現れるなんて、どんな精霊の夢 見たんだよ。」

「精霊は見てない…。」

「精霊?」

「……あ。…いや、その…。」

困った。
夢で見てたのは ラシェだ
…なんて、恥ずかしくて流石に言えない。
クライドが言い淀んでいると、ラシェがふと口を挟んできた。

「あの。…そろそろ見廻り、行ってきた方が良くないですか?
ほら、おばあちゃんの所の外れの畑、最近 夜中に獣が荒らす時があるからって言ってましたし、見に行かないと…。
私がルーチェちゃん見てますから。」

「私が見とくわよ?ラシェは休んでた途中じゃない。」

ラシェの提案にラミリアがそう返すと、ラシェはフルフルと首を横に振った。

「ラミさんこそ勤務終わったばかりじゃないですか。
私は少し休んだので、暫くは大丈夫ですよ。…目も覚めてしまいましたし。」

ラシェがそう言うと、ラミリアに抱っこされていたルーチェが、ラシェの方に行く、と身をよじった。
「ルーチェは、ラシェが1番良いのね。」
と、ラミリアがルーチェをラシェの方へ行かせてやると、ルーチェは飛び移るようにラシェに抱きついた。

「ままー。」

!!!!!!!!!
ルーチェの言葉に、全員がまた驚く。

「ん?ラシェは、『ママ』なんだ…?」

あはは、とラミリアが笑うと、ラシェは困った様に笑った。
ルーチェは、また『ままー。』と言って抱っこしてくれているラシェに頬を擦り寄せる。
トーがクライドに、コソッと訊ねた。

「…お前…、ホントどんな夢見たの…。」

「…………っ、……。」

クライドは顔を隠す様に顔を抑える。
…恐らく赤面しているに違いない。
恥ずかしくて顔から火を吹きそうだ。

はははっ!とバトーがクライドにだけ分かる様に笑うと、彼はクライドと…ラシェに提案した。

「ラシェ。
どうせ起きてくれるなら、その子連れてクライドと夜間巡回してきてくれよ。
…俺はクォルの馬鹿連れて反対周るからさ。」

「えっ!俺様もルーチェちゃんと一緒が良、」
「しつこい!ロリコン‼︎」
「ぐぉ、ッ!!!」

抗議しようとしたクォルは、ラミリアがすかさず鉄拳を喰らわせた。
クォルは「失礼な…俺はロリコンじゃない…若いオネェサンも熟女も好きだ…!」などと言って、もう1発ラミリアからお見舞いされる。
トーが、やれやれと肩でため息をついた。

「…ルーチェは『ママ』と一緒が良いだろうし…それに多分、夜が明ける頃にはルーチェは帰る●●よ。
…これが月の魔力なら、な。」

クライドはその言葉で察したが、何の話か解らないラシェは、えっ、と思わずルーチェを見た。
ルーチェは にこぉっと笑う。

「まま、いっしょ…。」

ラシェは思わずギュッとルーチェを抱き締めた。
それを見てバトーは優しく笑うと、「…じゃ、そう言う事で」と、ラミリアの鉄拳を喰らって蹲っていたクォルの首根っこを掴まえ、その長身を引き擦る様に伴って行った。

「俺らは市街地から周ってる。
お前らは…そうだな、散歩がてら婆さんトコまで行って来ると良いんじゃないか?獣が出ても、クライド1人居りゃあ何とかなるだろ?」

「そりゃ何とかなるけど、…詰所は?」

クライドがそう言うと、聞いていたラミリアが からからと笑いながら進言した。

「やぁね、水くさい。
私が詰所で仮眠しとくから、安心なさいな。
人が来れば気配で幾らでも起きれるわ。」

任せなさい、とラミリアは胸を叩く。
クライドは ハァとため息をつくと、言うだけ言って さっさと行ってしまったバトー(達)に続く事にした。

「…じゃあ、ラミリア、少しの間頼むな。…多分、バトー達すぐ帰って来ると思うし。」

「任せて任せて☆行ってらっしゃい!」



******



そんな訳で。

クライド達は、バトー達とは逆向きに…月の有る方向へと歩いて、町外れに向かった。
ルーチェはクライドが抱っこしている。

…しかし、やはりというか、何というか。
ルーチェは、クライドを『ぱぱ』と呼んできた。
トー達と別れてから呼ばれたので、彼らに茶化されずに内心ホッとしたが、…正直ラシェの前なので、気恥ずかしいやら気まずいやら…。
お互いが、『ママ』と『パパ』な訳で、ラシェもラシェで、心なしか恥ずかしそうに顔を赤らめていた。

「えっと…ルーチェちゃんは、どうして皆さんの事が解って…、
その…、何故、私とクライドさんが『ママ』と『パパ』なんでしょう…。」

最もな疑問だ。

正直、バトーには言わなかったが、…何となくルーチェの言動やらを聞いていて、すでにクライドは、これは本当に夢の所為だ●●●●●●●●と確信していた。

暫く悩んだが…、
すでに休んでいたラシェを起こしてしまって、かつ、こうして時間外の見廻りにまで付き合わせてしまって…
流石に不義理だと思ったのもあり、
…クライドは、ラシェにポツポツと話し始めた。

「…満月の日って、魔力が高まるのは…ラシェ、知ってるよな?」

「あ、ハイ。精霊の森で魔力を固定化して頂いた時も、確か満月でしたし。」

「うん…。
…で、今日、満月だろ?」

「はい。」

「バトー曰く…あいつの故郷に伝わる話なんだが、
こういう満月の日…魔法使いが魔力精霊の夢を見ると、夢に見た魔力精霊が『具現化』する事が有るらしいんだ。
…で、俺が『夢』を見た、みたいで…。」

「ルーチェちゃんは、その精霊さんなんですか?」

「…恐らくは。」

「恐らく?…クライドさんの夢に出てきた精霊さんでは ないんですか?」

「………だって、
俺が、見ていたのは…。」

クライドは歩いていた足をふと止める。
ラシェも思わず立ち止まって、どうしたんだろうとクライドを見上げた。
クライドはルーチェを片腕で抱っこしたまま、少し俯き、空かせた手で顔を抑えながら、ポツリと呟く。

「…ラシェ、だけなんだ…。」

その言葉に、思わず顔を抑えた指の隙間からクライドの顔をよく見ると、今まで見た事も無い程 赤くなっている。
ラシェも思わず、先程より一層顔が熱くなってしまった。

「え、えっと、あの、その…?」

「あー!いい、いい!
頼む、無理に何か言わないで!
今、死ぬ程恥ずかしいからー!」

クライドはルーチェを降ろし、恥ずかしさで火を吹きそうな顔を隠す様に膝を抱え、思わずしゃがみ込んだ。
突然降ろされてしまったルーチェが、「ぱぱー?」と不思議そうにクライドの顔を覗き込もうとする。
…今のクライドに、ルーチェの言う「ぱぱ」呼びは追い討ちでしかない。
少しして、ラシェも 頭を抱えてしゃがみ込むクライドに合わせる様に、彼の目の前に屈んで、「やっぱ言うんじゃなかったー…」と自己嫌悪している彼に、おずおずと声をかけた。

「恥ずかしがらないで下さい…、
えっと、その…
夢で、私なんかを思い出してくれたなら、それは…私には嬉しい事ですよ?」

その言葉にクライドが思わず顔を上げると、そこには確かに、自分と同じ様に頬を染めたラシェがいた。
ラシェは はにかみながらクライドに手を差し伸べる。

「…ほら、行きましょう?夜が明けるまでは、『パパ』と『ママ』ですからね。
ルーチェちゃんといっぱいお散歩しましょう!」

ね?とラシェがルーチェを見ると、ルーチェが溢れんばかりの笑顔を返した。

『ああ、
やっぱり、同じ顔だ。』

そう思いながら、クライドは改めてルーチェを抱き上げ、ラシェと共に再び歩き出した。

少しして、ラシェが 横を自分に合わせてゆっくり歩くクライドに改めて訊ねる。

「それにしても、
私が夢に出ただけなのに、どうしてルーチェちゃんが現れたんでしょう?」

クライドはその問いには、もう腹をくくって答える事にした。

「…多分だけど、ラシェが魔力精霊並みに綺麗な魔力を持ってるからなんだと思う。
それに、夢の中で、ラシェが白いドレスに青い花冠付けてたから…、
俺が、『こうなったら良いな』って、思わず思ったんだ…。それでなんだろうな…。」

「白いドレスに青い花冠、ですか?
確かに、それは現実に着れたら素敵な衣装でしょうね…。ふふっ、有難うございます。
…でも、それが何でルーチェちゃんが現れた事に繋がるんです?」

クライドは鼻の頭を掻きながら、それに答えた。

「………。
『白いドレス』と『青い花冠』は、グランローグに新しく迎えられる女性が着る、儀式の衣装、だから…。」

「新しく、迎え…られる、儀式…?
…あっ…。」

瞬間、今度はラシェの顔が真っ赤に染まり、ピタッと立ち止まってしまった。
クライドは もうどうとでもなれ と言わんばかりに、ラシェに合わせて歩みは止めるものの、話を続ける。

「…一気に飛び越え過ぎて、最初はバトーに言われても何でなのか分からなかったけど、
…それが ルーチェが顕現した原因で、俺を『パパ』、ラシェを『ママ』って ルーチェが言う理由…なんだと思う…。」

「…え、えっと…、
あの、その、つ、つまり…
ルーチェちゃんは…、」

あわあわと赤面しながら、ラシェが言おうとする言葉を、クライドも赤くなりながら、はぁぁぁ、とこの上なく深くため息を吐いて代わりに口にした。

「俺の創り出した、
俺らの『子供』…みたいな存在だ…
…多分。」

言いながらクライドは、ラシェに本当申し訳ないやら 恥ずかしいやら、また自己嫌悪に陥ってきた。

…彼女への想いは、
もう随分前に伝えた事がある。

いつか…
いつの日か、そう●●なれたら良いな、とは
何度も思った事だ。
…とは、言え。

『…俺、マジで
どんだけ夢見てんだ。』

花嫁衣装を着た●●●●●●●ラシェの夢を見る、なんて。

「まーま!ぱぱー!」

赤面し合う2人の理由を知ってか知らずか、ルーチェが嬉しそうに2人をそう呼ぶ。

…先程から、『お散歩』が一向に進まない。

クライドは意を決して、ルーチェを片腕に抱き、空いた片手でラシェの手を取った。

「と、とにかく…、行こう?」

「は、ハイ…っ。」

うわずった声ながらも、ラシェはクライドの手を取る。
ただでさえ恥ずかしい状況だが、彼女が決して嫌そうではないのが、せめてもの救いだ。


…自分は、
正直に言えば…ラシェが自分を想うより後から●●●、ラシェを想うようになったのだと思う。
最初は、あくまでグランローグからの保護対象で、妹の様に思っていただけだったから。
でも、彼女は違った。
ずっと真っ直ぐに自分を慕ってくれて、
こんな自分を、危険な目でも省みず救ってくれた事さえあった。

そんな彼女を、
愛しい、と
そう想うようになったのも自然だった。

グランローグは未だ再興中だ。
大陸の人々を、
恐怖に貶めた父王の罪は
…深くて、重い。
ラシェだって その所為で肉親を失った。
兄さんは父王に成り替わり、国を支え、あらゆる手を尽くして罪を償っている。
妃すら迎えていない兄を差し置いて
未だ未熟な身の自分だけ
幸せになろうなんて思わない。
…だけど、
こんなにも
そう●●なれたら良いと、
夢にまで見る程
自分が願っているなんて。



…ああ、そうか
今日は、そう言えば…。



ゆっくりと3人で夜道を歩きながら、
クライドは、ふと ある事を思い出した。

「今日、母上の誕生日だ。」

思わず吐いて出た言葉に、ラシェがクライドを見上げる。

「お母様の?」

「うん。
…母上は、俺を産んですぐに亡くなってるから、誕生日のお祝いなんて大層な事は特別しなかったけど、
昔から、母親ってやつには憧れがあってさ。
夢を見たのも、
そういうのへの憧れが強かったからなのかも。
…家族で手を繋いで、
一緒に歩いて、
他愛無い話とかしてさ。」

「じゃあ、
今日は、その『夢』も叶っちゃいましたね。
『家族』でお散歩、ですもんね。」


ラシェはクライドの言葉に、ふふっと柔らかく笑った。
満月の光の様に、優しい笑顔。
ルーチェも同じ顔をして笑っている。


決して叶わない『夢』だけど
『母』と一緒に
『父』と笑いながら
暖かい時間を過ごしてみたい

…『ルーチェ』は
紛れもなく
自分がいつか見た『夢』、
そのものなんだ。


******


町外れの畑まで行くと
話の通りに獣…猪の親子が
今まさに 食材を探しに来ていた真っ最中だった。
よく見ると、一番奥の方の畑を囲う柵が、見事に壊れている。

「エレジアさんの作った野菜は美味しいからなぁ…。気持ちは分からなくも無いが…他所をあたってくれな。」

そう言いつつ、ルーチェをラシェに任せ、クライドは猪の親子をバタバタと走って追い込み、畑の外へと追い立てた。

「ここはまだ街の中なんだー!危ないから もう来ちゃダメだぞー!!」

クライドは追い立てた猪の親子の背に向かってそう叫ぶと、
やれやれ 柵を作り直さなきゃ駄目だなぁ、と、壊れた柵に触れながらブツブツと呪文を詠唱する。
ラシェはルーチェと一緒に覗き込んだ。

「何の呪文ですか?」

「んー。とりあえず、魔法で『可視の壁』をね。俺、修理仕事は専門外だからさ。これで2、3日は持つと思うから、その間に修理できる人を手配してあげるとして、エレジアさんには 夜も遅いし、朝の見回りの時に報告するとしよう。」

「そうですね。」

夜の見回りの範囲は、こっち側を周るならこの畑で終わりだ。あとは詰所に戻るだけとなる。
クライドは、近くで一番背が高くて しっかりした木を見繕い、ラシェとルーチェに声をかけた。

「せっかくだから、3人で暫く月見でもしよう。」

「…えっと、これ…登るんですか?」

「ああ、俺がいつもみたいに上げるから。…さ、捕まって?」

ルーチェを片腕で抱っこしたまま、ラシェを抱き寄せて抱えると、クライドは「よっ、…とっ」と その木の1番高い太い枝まで一気に跳躍して、枝の上にラシェを降ろした。
一気に月が近くなる。

「綺麗ですね…。
あ、お月見するなら 何か作って持ってくれば良かったですね。」

「いいって いいって。
…そもそも、ラシェには夜の見回りを付き合わせてる訳だしな。
月見なんて、月が見えてれば充分。」

なー?とクライドが抱っこしているルーチェを見ると、ルーチェは にこぉっと笑った。

「おつきさま!!」

ルーチェが、小さな手の平を拡げ、月に向かって 腕を思いっきり伸ばす。
よく見ると、その手の指先が、薄っすらと透けて、消えそうになっていた。

「ルーチェちゃん…。」

それを見たラシェが、思わずギューっとルーチェを抱きしめると、ルーチェは「まま?」とあどけない顔で首を傾げた。
クライドは、そんなルーチェの頭をわしわしと撫でる。

「そろそろ、行くの?」

その言葉に、ルーチェは にこぉっと笑って返した。

さあっと、優しい風が吹き抜ける。

すると、ルーチェの身体がキラキラと光の粒子に包まれ始めた。
クライドは、ルーチェを抱き締めているラシェごと2人を抱き寄せる。

「短い時間だったけど、なかなかに貴重な体験が出来たよ。
いつか、またルーチェに会える様に
『パパ』、頑張るからな。」

「…また●●ね、ルーチェちゃん。」

2人にそう声をかけられると、
ルーチェは満足そうに一番良い笑顔をして笑って、2人に体を擦り寄せる。
そうしてルーチェは、光に包まれながら、溶け込む様にすうっと姿を消した。

「本当に、消えちゃいましたね…。」

少しの沈黙のあと、ラシェが寂しそうにポツリと呟くと、シュンとしているその肩を、クライドはそっと抱き寄せて ぽんぽんと優しく叩いた。

「呼び方とか不思議な物言いだったし、結局ルーチェは、俺の『創造』か『未来』なのかは正直分からないけど、
望めば、いつか必ず会えるさ。」

「望めば…?」

「ああ。
…俺は、ラシェが望んでくれるなら、いつか必ず叶えるよ。」

クライドはサラッとそう言うと、さりげなく腕の中のラシェの前髪に優しく口付ける。
それに対して ラシェがまた赤くなるより早く、
クライドはラシェを抱え、フワッと登っていた木の枝から降り立った。

「さて。
詰所までは2人なんだし、手でも繋いで帰ろうか。
…俺は このままでもいいんだけど。」

クライドはラシェを腕に抱き抱えたまま、にこりと笑った。
ラシェは いつの間にやらお姫様抱っこな体勢にハッとして、あわあわと手をバタつかせてクライドに慌てて提案する。

「手を…っ、手を繋いで帰りましょうっ!」

「そう?…仕方ないなぁ。」

少々残念そうな顔をしてラシェを降ろしてやると、クライドは当然の事ながらラシェの手を取った。
内心 心臓がバクバクしていたラシェは、ひとまずホッと胸を撫で下ろし、クライドに繋がれた手をジッと見ると、そっと手を添えて離し、互いの指を絡める様に繋ぎ直す。

「クライドさんと手を繋ぐなら、こうして繋ぐといいって、ラミさんが言ってました。」

「へー、成る程ね。さすがラミリア先生だな。
ま、確かにこの方が それらしいか。」

繋がれた手を軽く持ち上げ、クライドは満足そうに笑う。
その顔が、とてもルーチェにそっくりだな、とラシェは微笑ましく思った。

2人は互いに顔を見合わせて笑うと、どちらともなく帰り道へと歩き始めた。

丸い月が優しく照らす、
いつも通る道。
今日は何だか違う気がするのは
ルーチェと出逢ったからだろうか。



丸い月が
2人を優しく
何処までも照らしている。



いつか
この『夢』が
叶います様に。





* fin *



おわりに

久しぶりにらぶらぶ書いたら
おかしな事になりました(´・∀・`)

最近まともにお絵描きしてませんが、
リアルのお仕事に慣れるまで
ちょっと両手を養生中なのです…(^_^;)
(日がな半日ブックコートしてます)
秋口までプチ繁忙期…!
これでプチなら年度末どうなるのか
…ガクブル…:(´◦ω◦`):

とか言ってるそばから
また右手の指を怪我したりね。
(それにしても
キズパワーパッド様の偉大さときたら…)


ところで
水着の季節到来ですね!

私も是非とも
ラミ姐あたりで参戦したいです!
(希望)

水着は
えろい絵を描く
良い練習台になりますから…

くびれ
くびれ!
(*゚∀゚)=3ムハー

クォルさんが喜ぶ絵を目指したいと思います…!

しかし困った事に
近所にコピック売ってないので
切れた色が補充出来ません
どうしよう…!
_:(´ཀ`」 ∠):






普段は育児に追われております…
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