テキトー手探り創作雑記帳

個人的な趣味なモノを、書いたり描いたり

【PFCS】SS・ヴィランズストーリー 〜リーフリィ〜1

少しヴィランズ絡みのSSを投下しておきます。

ヴィランズストーリー 〜リーフリィ〜

丘に咲く花

クライドは、月1でコードティラルからグランローグへと帰っている。
戦争も終わり、本来ならば国を再興している国王、兄・レイガの弟王子として、補佐に回らねばならない立場ではあるが、先の戦争での立ち回りや、コードティラル国内で築き上げた地位もあり、ごく一部の人間にのみ その正体を明かしつつ、名目上コードティラルの城下の自警団員として、コードティラルとグランローグの橋渡し的な役割を担っている。

月1で国に帰るのは、グランローグに、コードティラル国内の先の戦争からの復興の進捗、また、残存している魔物の活動状況などを報告する為でもあるのだが、
その最たる一番の理由は、ラシェにあった。

彼女の故郷・フィアル国は、先の戦争で隣国であるグランローグ帝国に真っ先に滅亡へと追い込まれた。

『フィアルの悲劇』

戦争を起こした、前グランローグ皇帝の持つ呪いの力『魔物の創造』の餌食に真っ先に晒され、突然フィアル国内に現れた凶悪な魔物の群れに為す術がなかったフィアル国は、抵抗する間も無く、一夜にして滅んでしまったのだ。

ラシェはその『フィアルの悲劇』に見舞われたにも関わらず、幸いにも、フィアルと同盟国であったコードティラルから騎士団員として派遣されていたクライドに窮地を救われ、生き残った人間の1人だ。

『フィアルの悲劇』から欠かさず、月に一度の『月命日』に、ラシェは廃都フィアルに墓参りに向かう。

クライドは、フィアルがグランローグの隣国である為、未だ魔物が多く徘徊する道中の護衛も兼ね、ラシェのフィアルへの墓参りに合わせてグランローグへ帰っているのだ。
それは、クライドの兄であるグランローグの王・レイガも、少なからずラシェの事は気にかけていての計らいだった。


いつも、フィアルでの墓参りを先に済ませてからグランローグへと現状報告に向かうのが常で、この日もクライドとラシェはそれを済ませて、早朝にグランローグを出立し、コードティラルへの帰途に着いていた。

「クライドさん。少し、寄り道をして頂いても良いですか?」

お昼を過ぎた頃。
フィアルから少し抜けた森の手前、小高い丘に差し掛かるところで、馬の手綱を預かるクライドに、ラシェがふいに声をかけた。

「ん、寄り道?」

どう…っ、とクライドは馬の速度を落とし、馬の脚を休ませると、前に乗せているラシェを見た。
ラシェは半ば振り返る格好で、後ろのクライドを見上げる。

「…この丘を少し行った先に、小さい頃よく遊んだ樹が有って、そこの根元にウィンベリアが咲いている頃だと思うんです。」

「『風の花(ウィンベリア)』?」

「はいっ。薄紫のとても綺麗な花で、この時季にだけ咲く花なんです。紅茶に浮かべたらとても良い香りがするんですよ。咲いていたら、いくつか摘んで帰りたいなって、今ふと思って…大丈夫でしょうか?」

「そっか。…うん、別に構わないよ。後はコードティラルに帰るだけだし、とりあえず、日暮れまでに森を抜ければ良いから。…どっちかな。」

「有難うございます。…えっと、こっちの方角です。」

ラシェに誘われながら、クライドは馬の手綱を穏やかに操る。
柔らかな陽射しの中、2人を乗せた馬がポクポクと優しく丘を進んでいく。
やがて、1本の樹が見え、そして見る間に目の前に薄紫色をした花の絨毯が広がった。

「凄いな…。」

その美しい絨毯を踏み荒さぬよう馬の脚を止め、クライドは思わず呟いた。
ラシェが ふふっと柔らかく笑う。

「今のこの時季、この1週間だけなんです。今まで、なかなかタイミングが合わなくて。…普段は葉だけなので、また違った風景なんですけど。」

「なるほどね……ん?…ねぇ、ラシェ。あそこの大きな樹、何か上の方に小屋みたいなのあったりする?」

クライドは、先程から視界にも目立つ丘の1本の樹の上に、小屋のような物が在るのを遠目に見つけて指差した。
ラシェはコクコクとうなづく。

「はい。子供の頃によく遊んだ秘密基地です。懐かしいなぁ…。」

「少し行ってみないか?」

「それは良いですけど…上に登れるかな…?」



花畑の小さな畦道を進み、馬を小屋のある樹の側に留め、2人はその樹を下から見上げた。
小屋からは縄梯子が降ろされていた様だが、すっかり朽ちていて使い物にはなりそうに見えない。

「やっぱり駄目ですね…。」

ラシェが朽ちた縄梯子に触れながら、少し寂しげに呟いた。
しかし、横で見ていたクライドはと言うと、小屋の土台となっている樹の幹を何やら叩いたり押したりしつつ、やおら腕まくりをして樹の幹をガシッと掴み、登ろうと樹に足をかける。

「ふむ、大丈夫そうだ。…ちょっと見てくるから、そこに居て?」

「く、クライドさん?!」

ラシェが止める間も無く、クライドはひょいひょいと樹のコブや幹に足をかけつつ樹を登って行く。
流石、小屋が建つほどはある樹なだけはあり、クライドが登ってもビクともしない立派な樹だ。

小屋のある位置にまでたどり着くと、クライドは小屋の扉をそうっと開け、軽く中の床の強度を確かめると、小屋から出てきて、何の躊躇もなくそこから下に飛び降りた。
そして、まるで猫かのようにしなやかに着地をする。

「わわ!」

ラシェは、樹を伝って降りてくるだろうと思っていたクライドが、瞬く間に目の前に降り立ち、思わず面食らってしまう。
何事も無かったかのように服についた木屑を払いつつ、クライドはラシェに言った。

「中は入っても大丈夫そうだよ。」

「え、あ、本当ですか?…でも、私、木登りは…。」

「ああ、大丈夫大丈夫。連れてくから。」

「え、連れてく?……え、わわっ、きゃあっ。」

クライドはラシェをすっと抱き上げ、軽く地面を蹴ると、フワッと浮き上がると、階段を登る様に軽やかに上に跳んでいく。
風の魔法の力だ。
彼の持つ風の魔法は、空を飛ぶ事は出来ないが、空気を蹴る様に跳ぶ事は出来る。
あっと言う間に小屋の位置まで上がると、クライドは樹の上の足場にラシェを降ろした。

「小屋を歩けても、樹が朽ちてたら危ないからね。ちょっと乱暴に登って確かめてみただけだよ。…さ、入ってみよう?」

ラシェが疑問を口にする前に、クライドはそう言い訳しながらラシェを小屋の中へと誘った。
ラシェは言われるがままに小屋の扉をそっと開けて中を覗き込む。

中は、思ったより古びていない。

ラシェは思い出を確かめる様に中に足を踏み入れる。
小屋の中は一間で、部屋の隅に机が一つ、子供数人で使っていた3個の簡素な椅子が乱雑に並び、子供が作ったであろうお手製のパチンコや剣を模した木の棒、古びたボールがごちゃっと置いてある。
あの頃のままだ。

「ここを作った人は凄いね。誰も手入れに来ていないのに、こんなに綺麗な状態で残ってるなんて…。」

「近所に住んでたテリィお兄ちゃんのお父さんが作ってくれたんです。子供達が、親の目を気にせず伸び伸び過ごせる所をって。」

「へぇ。」

「私のお母さんや周りの大人の人には内緒で。テリィお兄ちゃんもお父さんも、秘密基地は子供の浪漫だって言ってました。」

ラシェは懐かしそうに目を細めて、ふふっと笑った。

「…ここはこんなに綺麗に残ってたんですね…もっと早く来てみれば良かった…。」

「また来月来れば良いよ。次は新しい縄梯子を持ってさ。こんな立派な小屋は建てれないけど、樹に縄梯子付けるくらいは出来るからさ。」

「わぁ。有難うございます!そうですねっ。そしたら私も自分でここに登れますしっ。」

「まぁ、そうだな。」

…別に俺がさっきみたいに
連れて上げてあげても良いんだけどな、
などとクライドは思いつつ、ふと部屋の隅の机の上に目を止まらせた。

机の上の古びた紙に、何か殴り書きしてある様な…

…不自然な真新しいインクで。

クライドは思わずその机に近付き、その紙の殴り書きを手に取る。

…ある違和感を覚えながら。

「…?誰か、ここに来てたのか…?」

「クライドさん?」

彼の様子を不思議に思い、ラシェが横からクライドが手に持つ殴り書きを覗き込む。

「……ん?…これ…何語だろう…。クライドさん、読めますか?」

ラシェのその問いにクライドはハッとして、手に持つその殴り書きの、先程自分が感じた妙な違和感の正体を察知した。
だが、クライドはラシェには何事も無かったかの様に、静かに首を横に振って応えた。

「…いや、俺にも読めないな…。」

「……子供のラクガキですかね?ここ、フィアルの子供ならみんな知ってるから…。」

「そうかも…しれないな…。」

そう答えつつ、クライドは、自分の手にジワリと嫌な汗が滲んでくるのが分かった。
ラシェが他の物に目をやったのを見計らい、その不思議な文字が殴り書きされた紙切れを、クライドはズボンのポケットにしまい込む。
そして、小屋の中を見ているラシェの気をそらさせようと彼女に声をかけた。

「…そろそろ出ようか。日暮れまでに森を抜けないと。花も摘んでないだろ?」

「あ、ハイ!そうですね。懐かしくて、つい時間が経つのを忘れてしまいました…っ。有難うございましたっ。」

「俺こそ、素敵な場所を教えて貰えて良かったよ。…さ、行こう。」





書かれていた字は、普通のヒトには読めない文字だった。
…だが、
その文字は自分には読める


それは、普通のヒトは決して知る事の無い、主にグランローグの王族や、グランローグ人…つまり『魔族』が古くから使う『古代文字(ルーン)』。

今はグランローグでも見られる事のない文字が、何故こんな場所に…?

しかも





『誰か 私を 助けて』

なんて…。


花も詰み、ラシェを馬に乗せながら、
クライドは何か予感めいた…とても嫌な胸のざわつきを覚えながら、コードティラルの帰途へと馬を走らせた。

『…今度、念の為に
兄さんにこの事相談しておくか…』

そんな事を考えながら。








それを見送る、
鋭い眼光をした一つの影があった事に
2人は気づくことはなかった。

「…あの娘…
この狂おしい程の憎しみが湧くのは何故だ…?」

影は、
そう呟いて風の様に消えた。






つづく




補足

こちらをお読みになりますと
少し分かりやすくなります(笑)↓
yourin-chi.hatenablog.jp

あゝしかし困った…
…寝ているおチビに右手を取られて
寝てる隙に
絵が描けナァァァァイ(´;ω;`)ウッ…
(いつも寝転がって描いてる)


筆がノったので
夜更かししてしまいました(笑)









普段は育児に追われております…
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